ウッドデザイン賞2025での栄誉
2025年のウッドデザイン賞において、和歌山県御坊市庁舎と山口県防府市庁舎の2つのプロジェクトが栄誉を受けました。この賞は、木材を用いたデザインを通じて社会課題の解決を目指す活動を評価するもので、特にSDGsやカーボンニュートラルの取り組みが重要視されています。
ウッドデザイン賞とは?
ウッドデザイン賞は、木の持つ特性や価値をデザインで再構築し、優れた建物や製品、活動を表彰する制度です。これにより、木材の利用促進や、それによって生まれる新たな価値を社会に広めることを目的としています。
御坊市庁舎の特徴
御坊市庁舎は、津波から市民を守る防災拠点として設計されています。所在地は御坊市の中心市街地で、海岸からはわずか1キロの距離に位置します。南海トラフ巨大地震による津波のリスクを考慮し、1階にはエントランスホールや倉庫、職員用サービスエリアが配置され、庁舎機能は2階以上に集約されています。
中間免震構造の採用
建物は中間免震構造を採用しており、1階は鉄筋コンクリートで建設され、2階以上は鉄骨構造となっています。避難民のためのホバリングスペースも設けられており、地域の災害対応にも配慮がされています。また、「ごぼう防災デッキ」という屋外階段が設置されており、高所へ避難できる安全な避難路を提供しています。
地域文化の反映
エントランスホールは、「宮古姫物語」をテーマに、色とりどりの衣装が幾重にも重なったようなデザインが施されています。市民が気軽に立ち寄れる憩いの空間を目指しており、防災拠点としてだけでなく地域交流の場としても機能するよう設計されています。
防府市庁舎の魅力
一方、防府市庁舎は全国的にも珍しい複合庁舎です。市庁舎本館は8階建て、福祉棟は2階建てという構成で、市民生活や防災機能の連携が強化されています。さらに、新たに整備される立体駐車場や議会棟との接続も考慮されています。
歴史的なデザイン
防府市は長い歴史を持つ地域であり、天満宮や毛利邸などの文化財が点在しています。本庁舎の形状はその歴史的背景を意識したデザインになっており、勾配大屋根やヒダ模様の外壁が特徴です。このデザインは市の文化や歴史を象徴しており、市民に誇りを持たせる要素にもなっています。
各種開放スペース
建物の最上階には、市民が利用できる多目的会議室やラウンジが設けられており、展望回廊も設けられています。この回廊は回遊式の展示ギャラリーとしても機能し、防府市の魅力を発信する場としても活用されます。
まとめ
ウッドデザイン賞2025の受賞を通じて、御坊市庁舎と防府市庁舎は地域社会における木材の重要性や、地域文化の継承を表現しています。これからも、持続可能な社会の実現に向けて、こうした木を用いたデザインの重要性が高まることが期待されます。