和歌山の未来を担う子供たちが海を考えるイベント
2025年9月13日と14日、和歌山県内の田辺市、白浜町、御坊市において、小学校5・6年生18名が集まり、体験型学習イベント「紀南の海が未来を変える〜わかやま海守り隊2025〜」が開催されました。このイベントは、一般社団法人海と日本プロジェクトin和歌山県の主催で、次世代を担う子どもたちに和歌山の海の美しさやその保全の重要性を再認識させることを目的としています。
紀南の海を学ぶ2日間
参加した子ども達は2日間にわたり、様々な実地学習を通じて海の生態系やその課題について学びました。1日目は京都大学白浜水族館を訪れ、紀南の海に生息する無脊椎動物の種類や役割について学びました。山内飼育員から、無脊椎動物は海中のプランクトンを吸い取ることで水をきれいに保つ重要な存在であることや、魚にとって藻場が卵を産む場や隠れ場所としてどれほど重要かを教わりました。子どもたちは藻場に住む魚たちを観察し、その特徴を学びながら海の生態系を守ることの重要性を感じ取ったようです。
その後、田辺市にて新庄漁業協同組合の橘智文さんから、水産業の現状や藻場が減少している背景について聞きました。田辺湾の漁獲量が約40年前の10分の1に減少している事実や、海流の変化、環境変化により藻場が減っているという現状にショックを受けていました。また、藻場が水質浄化の役割や生物多様性の維持に果たす役割について学ぶことで、子どもたちはますますその重要性を実感したようです。
体験を通じて実践する海藻の保全
続く2日目は国立和歌山工業高等専門学校で、アマモについての実験や、「アマモ玉」の放出体験を行いました。この体験を通じて、アマモの光合成の過程や藻場の重要性を体感しました。子どもたちは実験を通じて、二酸化炭素の吸収や海の変化について学びました。
また、「ヒロメ」の種糸作り体験も行われ、自然の海藻を使った押し葉アート作りを通じて、創造性を発揮したり、自然との触れ合いを深めたりしました。
学びを形にする宣言
この2日間の活動の最後には、子どもたちが学んだこと・感じたことを基にグループで「海を守る宣言」を作成しました。内容は、共生やポイ捨て禁止、自然を守るという強い意思が表れていました。これらの宣言は、JR和歌山駅や田辺駅に掲出され、多くの方にも周知されていく予定です。
未来へ向けた第一歩
このように、和歌山の海を考えるこのイベントは、次世代が自然環境を意識し、主体的に行動することの重要性を明らかにしてくれました。参加した子どもたちが未来の海を守る意識を持つきっかけとなったことは、非常に意義深いことと言えるでしょう。大人たちも彼らの行動から多くを学び、共に海を守る責任を再認識していきたいものです。