高野山会議2023が示す未来への道と和歌山の役割
高野山会議2023が示す未来への道と和歌山の役割
令和5年7月中旬、高野山金剛峯寺を舞台に開催された「高野山会議2023」。東京大学先端科学技術研究センター、高野山大学、和歌山県、そして高野町が共催したこのイベントは、今年で3回目を迎える重要な会議です。会議の目的は、科学、芸術、宗教といった多様な分野の専門家と地元和歌山の住民が一堂に会し、1200年後の未来を見据えた持続可能な社会について考えることです。
私自身もこの高野山会議に参加し、これから20周年を迎える世界遺産「聖地高野山」の持つ神聖な空間からインスピレーションを受けました。弘法大師は、自然の中での修行を通じて悟りを開いた人物です。このように、古くからの智慧を見直すことが、今の私たちにとってどれほど重要であるかを再認識しました。
現在、環境問題や気候変動の影響を受け、私たちの考え方は「人間中心」から「自然中心」へとシフトする必要があります。特に、未来を担う子どもたちに対しては、感受性や理性、倫理観を育てる努力が求められています。このような視点での育成は、持続可能な地域社会の実現につながっていくと信じています。
高野山会議の理念を基に、私たちは新たに「マンダラプロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトは、弘法大師が実践した「自然と一体化した世界観」を再現することを目指しています。具体的には、メタバースという新しい技術を利用し、瞑想がしやすい仮想空間を作っていく計画です。これを2年後に予定されている大阪・関西万博の和歌山館で発表したいと考えています。
このプロジェクトを通じて、私たちが目指すのは、自然とのつながりを感じ、命の大切さを知ってもらい、「利他」の心でウエルビーイングな社会を実現することです。和歌山県から国際社会へ、このメッセージを発信していくことを誓います。
高野山は、ただの観光地や宗教施設ではなく、世界が直面している問題を考えるための場所としての役割も果たしています。その歴史的背景と独特の文化を生かし、地域の人々と共に持続可能な未来を築いていく。その道筋を示すのが、今回の高野山会議であったのです。
参加者各々が持ち寄った考えやアイデアが、新しいアプローチを生むきっかけとなります。そうした知見を持ち寄り、共に学び合うことで、私たちは次世代に向けて、よりよい社会を築くことができるのです。高野山会議は、その始まりに過ぎません。私たち一人一人が、この流れを共に作っていく必要があります。
今後も高野山を中心に、和歌山の自然を大切にしながら、様々なプロジェクトを展開していく予定です。これからも多くの方々の参加を期待し、共に未来を見据えた取り組みを進めていきたいと思います。高野山会議での議論や活動が、新たな道を照らし出すことを願っています。