南三陸町の森林再生に向けた新たな一歩
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が、宮城県南三陸町で進める放置林再生プロジェクトに対して、The Coca-Cola Foundation(TCCF)が43万ドルの助成を行ったことが発表されました。この助成金は、地域コミュニティの気候に対する抵抗力を高めるために活用されます。
プロジェクトの背景
日本国内には、国土の約67%が森林に覆われています。森林は多様な生物の保護、水質の浄化、土砂災害の防止といった重要な機能を持っています。しかし、近年では林業従事者の減少や安価な輸入木材の流入が影響し、森林が管理されず放置されている状態が増加しています。これにより、「放置林」が広がり、森林本来の役割が損なわれつつあります。
特に、放置林は気候変動による災害リスクを増加させる要因となり、豪雨や干ばつなどの自然災害への脆弱性が高まるとともに、地域の生態系にも影響を及ぼしています。
プロジェクトの概要
このプロジェクトでは、持続可能な森林管理(Sustainable Forest Management)を基に、放置林の再生と下層植生の育成に取り組みます。下層植生とは低木や草、小さな木々が育成される区域で、これらの根系が土壌を安定させ、土砂崩れや水分保持に寄与します。また、多様な植生は森林の健康状態と生態系のバランスを保つ上でも欠かせない存在です。
南三陸町では総面積の約77%が森林であり、WWFジャパンとTCCFの連携によって最低3つの放置林を再生することを目指しています。
プロジェクトの実施期間
このプロジェクトは2025年4月から2028年3月までの3年間にわたり実施されます。
主な活動内容
A. 放置林再生活動
- - 放置林の範囲を特定し、マッピングを行う
- - 優先的に再生する区域を選定し、ゾーニング計画を策定
- - 土地所有者との協力を得て管理計画を立案
- - 実際の再生活動を開始
B. モニタリング
- - ベースライン調査と定期的なモニタリング活動を行う
C. 普及活動
- - 地元の高校や観光協会と連携し、プロジェクトの広報活動を展開
- - 自治体への提案や地域学会への参加を通じて地域の意識を高める
TCCFの役割
TCCFは気候レジリエンスと災害対策を支援する分野において重点を置いています。このプロジェクトのように、地域が気候変動に適応し、復興できるようなプログラムを世界各地で支援しています。
WWFジャパンは、1961年に設立されたグローバルな環境団体であり、サステナブルな社会の実現に向けて活動しています。TCCFは世界中の社会に前向きな変化をもたらすことを目的とし、1984年の設立以来、16億ドル以上の助成金を授与してきました。
この取り組みを通じて、南三陸町の森林が再生され、地域全体の持続可能性が一層向上することが期待されています。