麻しん(はしか)の脅威と予防:和歌山の現状と対策
麻しん(はしか)の脅威と予防法
麻しん(はしか)は、麻しんウイルスが原因で発生する急性の全身感染症です。この病気は非常に感染力が強く、主に空気感染、飛沫感染、または接触感染を通じて人から人へと伝播します。免疫を持たない人が感染すると、100%近い確率で発症すると言われています。また、一度感染し発症すれば、長期間にわたる免疫が得られることも特徴です。
和歌山県における麻しんの発生状況
和歌山県では、2018年には麻しんの報告者数はゼロでしたが、2019年に新宮保健所管内で4人の患者が確認されました。このうちの一部は、三重県からの感染が関連しています。更に和歌山市の保健所からは5人の患者の報告が行われ、うち1名は岩出保健所管内の住民でした。感染地域は主に大阪府や京都府との情報があり、これが地方における感染の動向を示しています。
保健所では麻しんの患者が確認された際、徹底的な調査を行い、接触者に対して健康状態の確認が行われます。一方、近隣の三重県でも感染者数が増加しており、警戒が強まっています。
麻しんの症状について
麻しんに感染すると、約10日後に風邪のような症状—熱、咳、鼻水といった初期症状が現れます。その後2、3日を経て39度以上の高熱と、この病気特有の発疹が出現します。重大な合併症として、肺炎や中耳炎が一般的に見られ、非常に稀ですが脳炎を引き起こすこともあります。特に、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は学童期に見られる中枢神経疾患で、麻しんウイルスの感染に起因することがあるため注意が必要です。先進国においても、麻しんによる死亡率は約1,000人に1人というデータがあります。
麻しんを予防するために必要なこと
麻しんウイルスは非常に強い感染力を持ち、単純な手洗いやマスクによる予防では不十分です。そのため、もっとも効果的な対策としては麻しんワクチンの接種が挙げられます。特に、医療や教育関係者、海外渡航を計画している成人は予防接種の確認と必要に応じて接種をお勧めします。
麻しんを含むワクチン(主に麻しん風しん混合ワクチン)は、95%以上の人々に対して免疫を提供するとされています。さらに、1回の接種だけでなく、2回の接種を受けることでより高い免疫獲得が期待できます。
協力のお願い
国全体で麻しん撲滅を目指しており、万が一報告があれば保健所が迅速に調査を行います。麻しんの診断を受けた際や、症状が現れた場合は医師の指示に従い自宅で安静にすることが重要です。また、麻しんの感染が疑われる場合や最近の旅行歴がある方は、事前に医療機関に連絡して受診をお願いしましょう。
麻しんは法律に基づく全数把握対象疾患で、医師によって直ちに届け出が求められます。推奨される行動を遵守し、麻しんの蔓延を防止するために協力してください。
詳しい情報については、国立感染症研究所などの公的機関をご参照ください。