PHR活用の健康実証調査事業報告
経済産業省が主導する「令和6年度日常生活におけるPHRを活用したユースケース創出に向けた実証調査事業」において、太陽化学株式会社が実証事業者として活動し、最終報告書が公開されました。この事業の背景や成果について詳しく見ていきましょう。
1. 事業の目的と背景
太陽化学は、三重県四日市市を本社とする食品素材メーカーで、健康と栄養に関わる知見を持つ企業です。本事業は、日常生活におけるPersonal Health Record(PHR)を活用し、健康意識の向上や商品提案を通じて「いつの間にか健康」を実現することを目的としています。
2. コンソーシアムの形成
本プロジェクトでは、株式会社セブン-イレブン・ジャパンや株式会社セブン&アイ・ホールディングス、株式会社センドリーム・ドットコム、ドリコス株式会社と連携したコンソーシアムを組成し、様々なアプローチで健康意識を高めることを目指しました。
3. 実証実験の概要
実証実験は、セブン-イレブン多摩センター駅西店をフィールドにして18日間行われ、165名の参加者が集まりました。ここでは、体組成計やヘモグロビン推定値測定機器による健康チェックが行われ、得られたデータと日々のライフログ(歩数や睡眠時間)がアプリを通じて集約されました。
4. 健康意識の向上
アプリを利用することで、参加者の健康に対する意識が高まりました。事前と事後のアンケートから、健康意識が明らかに向上したことが確認されました。これにより、健康への関心が呼び起こされ、日常生活がどのように変わるのか、さらなる研究が待たれます。
5. 購買行動の変化
健康に関心を持たない参加者がどのように行動を変えるかという点では、直接的な健康行動(例えば歩数や睡眠時間の改善)は確認されなかったものの、健康的な食品の購買が増加したことが示されています。具体的には、サラダチキンや豆腐、ヨーグルトなどの購入が増えたとのこと。この変化は、健康意識の変動と購買行動の関係を示唆しています。
6. 商品カテゴリの異なる健康ニーズ
参加者の間では、商品によって求められる健康の切り口が異なることも分かりました。例えば、パンには低糖質であることが求められる一方、飲料にはビタミンを簡単に摂取できることが好まれる傾向が明らかになりました。このような多様なニーズに対応する商品提案が、今後一層注目されます。
7. まとめ
この実証調査からは、PHRを活用して提供されるパーソナライズされた商品提案が、生活者の健康意識や購買行動にポジティブな影響を与える可能性があることが示されました。今後、太陽化学は「世界の人々の健康と豊かな生活文化に貢献する」という理念の下、日常生活における健康促進に向けた取り組みを継続していくとのこと。詳細は、経済産業省のホームページでも確認できます。
参考
この実証調査に関する報告書は、
こちらのリンクからも閲覧可能です。また、2025年秋に開催予定の第3回健康フォーラムでも発表される予定です。