和歌山・湯浅町で新たな国産杉の木桶が誕生
和歌山の湯浅町は、多くの醤油ファンにとって聖地とも言える地です。この地にて、1881年に創業した『丸新本家』の醤油部門である湯浅醤油有限会社が、2025年10月31日に国産杉を素材にした直径3.4m・高さ5.5mの木桶を2基導入します。この木桶は国内で2番目の大きさを誇り、伝統的な製法を今に伝えています。
木桶仕込みの魅力
日本国内における木桶仕込みによる醤油製造は、近年の効率化により全体の約1%にまで減少しています。しかし、この製法が生み出す独自の旨味と香りは多くの人々に支持されており、今再びその重要性が見直されています。湯浅醤油では、代々受け継がれてきた技術と文化を守るため、敢えて手間のかかる木桶仕込みを続けています。
伝統を守る姿勢
2000年代初頭、4代目が機械化による大量生産を検討した際、現在の5代目である新古敏朗氏は、いかに伝統を維持するかに焦点をあてました。「伝統の醤油をなくしてはいけない」という信念のもと、木桶仕込みを続ける決断をしました。
木桶の特徴
今回導入される木桶は、国産杉の木材を約100本使用し、釘を使わず木材同士を組み合わせています。その外周は金属のバンドで締め付けられ、強度を確保。内側には漆を塗布することで醤油本来の風味を保ちながら、木桶の発酵環境を最大限活かす工夫が施されています。これにより、実に月間約4,000Lもの増産が可能となる見込みです。
社長の思い
新古社長は「地域文化の継承が重要」と語ります。木桶仕込みは、効率化が進む現代では希少な存在ですが、その価値はますます高まっています。古い伝統を守るのみならず、その伝統をどう育てるかが重要だと感じています。
今後の展望
新設された木桶で仕込まれる醤油の完成は2028年頃を予定しています。地域の特性を活かしつつ、新たな挑戦を続ける湯浅醤油有限会社に期待が高まります。
お披露目イベント
新しい木桶の完成を祝し、2025年12月5日には報道関係者向けのお披露目会が、続いて12月13日には一般向けのイベントが開催されます。参加者には、無料で醤油ミニボトルが配られる特典も用意されています。詳細は湯浅醤油の公式連絡先で確認できます。
この木桶導入を通じて、醤油の素晴らしさと和歌山の文化を多くの人に再認識してもらうことが、企業のひとつの目標となっています。いつまでも愛される味作りのために、湯浅醤油有限会社の挑戦は続きます。