和歌山発！教育と福祉を融合した新しいコミュニティが誕生

和歌山県において、教育と福祉を結びつけた総合コミュニティ「ソーシャルインクルージョンヴィレッジ」が注目を集めています。このプロジェクトは、社会福祉法人檸檬会が手掛けており、「誰一人取り残さない社会」の実現を目指しています。遊休化した大学跡地を再利用し、合計で約90カ所の保育施設と障害福祉事業を展開することで、地域社会の多様性を尊重しながら新たな価値を生み出していくことを目指しています。

この取り組みは、2025年度グッドデザイン賞を受賞したことでも広く知られるようになりました。審査委員は、そのプロジェクトがただの福祉施設を超えた地域社会の共創モデルであることを高く評価しました。ここでは、歴史的な建物の資源を最大限に活用し、地域の人々と一緒に様々な活動を展開している点が評価されたのです。

プロジェクトの主なポイント

このコミュニティが目指すのは、ただ単にサービスを提供する場ではなく、多様な人が集い交流する場です。以下のようなコミュニティデザインのポイントがあります：

1. 歴史的な建物の再利用：地域に根付いた建物を活用し、その歴史と息遣いを残します。
2. 居心地の良い空間の創出：誰もが自己表現できる空間を提供し、自由に活躍できる機会を作ります。
3. 自治体や企業との共創：地域のニーズに応じた持続可能な事業展開を図ります。

課題解決への取り組み

このプロジェクトは、二つの大きな社会課題に対処しています。一つ目は、多様性が尊重される一方で、社会には依然として構造的な排除が存在する現状です。檸檬会では、過去18年間にわたって児童福祉と障害福祉の分野で継続的な支援を行い、地域社会に切れ目のない関与を持ってきました。しかし、従来の枠に収まらない新たな社会的課題が浮かび上がってきているのが現実です。

二つ目は、少子化による大規模建築の利用が難しくなっている問題です。これにより地域力が低下し、防犯や防災におけるリスクも高まっているため、解決が求められています。

プロジェクトの拡張と発展

地域の課題解決を目指す「ソーシャルインクルージョンヴィレッジ」は上記の二つの課題を解決するアクションとして、教育や福祉を中核に据えた総合的な取り組みを進めています。現在、敷地内には通信制高校や日本語学校、就労支援施設など様々な機関があり、多様な人々が交流できる空間が用意されています。これにより、訪れる人々は自然に繋がりを育むことができ、1か月あたり約一万人がこの場を訪れると言います。

新たな交流拠点としての役割も担い、奈良おもちゃ美術館は木育や体験型プログラムを提供し、地域全体に賑わいをもたらしています。また、屋外のプレイガーデンやレストラン、体育館などの施設も整備されており、誰にとっても開かれた場所となっています。