ジャイアントパンダの「永明(えいめい)」が2025年1月25日に、32年という長い生涯を閉じました。この特別な存在は、ただの動物ではなく、日中友好の象徴であり、ジャイアントパンダの保護と繁殖に多大な貢献をしてきました。その生涯を振り返り、「永明」が私たちにもたらしたものについて考えたいと思います。
永明の誕生と育ち
永明は1992年9月14日に中国・北京動物園で生まれ、1994年9月6日に和歌山県のアドベンチャーワールドに来園しました。この時から彼の素晴らしい人生が始まります。永明は「梅梅(めいめい)」との間に6頭、さらに「良浜(らうひん)」との間に10頭の子供をもうけ、トータルで16頭の父親となりました。彼の子供たちはすでに多くの繁殖に寄与し、その子孫は増え続けています。
成都での生活と安らかな旅立ち
2023年、永明は娘たち「桜浜(おうひん)」「桃浜(とうひん)」と共に中国・成都のジャイアントパンダ繁育研究基地に移動しました。ここで彼は厳重なケアを受けながら穏やかな時を過ごしていましたが、2025年1月からは体調に異変が見られるようになりました。獣医師たちの懸命な治療にも関わらず、永明は多臓器不全によって静かに旅立つこととなりました。
永明の功績
永明はその生涯を通じて、ジャイアントパンダの繁殖技術に多くの影響を与えました。特に、彼がミッションに成功を収めた2001年の自然交配は、非常に重要な出来事でした。その後、彼は多くのメスに対しても繁殖に貢献し、一般的な繁殖年齢が20歳までと言われる中で、28歳で自然交配に成功しました。そして、彼の精液が使用されて中国での人工授精にも役立ち、結果として新たな命が誕生しています。
これまでに永明の子供たちの中から13頭が中国に移動し、そのうち4頭は繁殖に成功し、20頭以上の子孫が生まれています。彼の功績は、単に子供たちを残すだけでなく、ジャイアントパンダの遺伝的多様性に大きく寄与しています。また、2011年には和歌山県の功績を全国に発信することが称えられ、和歌山県勲功爵の称号を得ました。
さらに、2018年には種の保存に貢献したことから日本動物大賞のグランプリを受賞し、2022年には日中国交正常化50周年を記念して「中日友好特使」に任命されました。これらの業績は永明がいかに多くの人々に愛され、尊敬されていたかを物語っています。
献花台の設置
永明を愛してくださる皆様に向けて、2025年2月15日より、永明が暮らしたブリーディングセンターに献花台が設置されます。永明との大切な思い出を思い返し、静かに手を合わせる場としたいと考えています。供え物はお花のみとさせていただきますので、ご理解いただけますようお願いいたします。
まとめ
永明の優雅な姿とその温かい眼差しは、私たちの心に深く刻まれています。ジャイアントパンダの保護と繁殖に貢献した彼の生涯を振り返り、心より感謝の意を表したいと思います。
永明、本当にありがとうございました。どうか安らかにお眠りください。